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個展「蝶の雫」@銀座三越

小柳優衣 腐蝕作品展「蝶の雫」
会期:2019年5月15日(水)~5月21日(火)
会場:銀座三越
 
足を運んで作品をご高覧下さった皆様、本当にありがとうございます。そして会場の三越様、福福堂岡村様、FCA金子様、展示をサポートしてくださった全ての方々に衷心より感謝申し上げます。
1点物の腐蝕銅レリーフ新作をメインに、小柳の制作ルーツである版画作品も同時にご覧いただける個展会場となりました。銅を急激に朽ちさせることによって銅に刻んでいくという制作工程は、産み出すことと朽ちることがひとつの線状に繋がっている神秘性を感じます。さらに今回の新作は「版」という性質を手放したため、素材を限界まで腐蝕することができ、より腐蝕行為の存在感を強められました。
 
前回 個展「THE LIGHT」では溢れんばかりの生命力、そして命の循環を描きました。本展覧会ではその営みの中で今を生きる小さな命を主人公に、私自身の経験も投影したシリーズ展開となりました。この展覧会以降に実物をお披露目する機会はありませんので、こちらで作品画像とステートメントをご紹介いたします。

 

作品制作に寄せて



 作中にたびたび登場する六枚翅は、「背負っている大切なもの、抱えていた重荷などを自らの手で昇華させること」を象徴的に担ったモチーフです。私たちの生きる社会は、かくありたいという自分自身の欲望や、かくあるべきという役割観にあふれています。しかし重すぎる翅では自由に飛ぶことはできません。
 そのような中で、在りのままの姿を受け入れ、地を這い苦難を乗り越え、空を舞った最初の者が現れました。翅をむしったのではなく、空気を変えたのです。自分自身の姿で飛び回れる居場所を作り出した先人が、次世代に残した未来…。私が描きたいのはそんな世界です。先人の思いが温かく包み込む世界で、どの命も自分らしい姿で飛び舞ってほしいと願います。

 技法につきましては、今回は形跡としての銅版画ではなく、銅に刻まれた時の経過そのものを作品として展示します。つまり腐蝕技法によって銅に刻まれた1点物のレリーフ作品です。版画家として不可分だった"版"の性質を越えての画面構成に挑戦しました。時を重ねて腐蝕された銅の素材感とともに、いとしい妖精たちや象徴的な花々が織り成す叙情的な世界観をお楽しみください。

2019.5 小柳 優衣

 

 

 

 

About my works

 

 

 The Seraphim, which often appear in my art works, are a symbolic motif that " To sublime irreplaceable things or heavy loads which carrying on their back". The society we live in is full of our own desire to be like something, and a role that we should be like. However, you can not fly freely if it is too heavy.

 Under such circumstances, a first seraph who accepted the figure as it was and overcame the hardships and flew in the sky appeared.She didn't pluck out her wings, but changed the air. What I want to draw is such a world----a blessing future for the next generation remaining from a pioneer who created a place to fly around with their own figure.I wish every life to fly in their own way.

 

 As for the technique, this time, it is not a copperplate print as a time trace, but the etching process carved in copper as a work itself. In other words, it is a relief work carved in copper by the etching technique. I challenged the composition beyond the nature of "print" which was indivisible as a printmaker. Please enjoy the texture of copper that has been corroded over time, as well as the lyrical worldview created by the wonderful fairies and iconic flowers.

2019.5 Yui Koyanagi