太陽から放出される力強い熱量を、生命の息吹とともに描いた作品。
はじまりは太陽が照らすゆらぎ。その恵みを享受する大地、咲き誇る花々。樹木はうねり上がり、幹の内側からは宝石のように輝くエネルギーが溢れ出ます。この樹木にはところどころ洞(うろ)ができています。洞は樹木の朽ちた部分ですが、そこに別の生き物が雨宿りしたり、住みついたりと、次世代の居場所を象徴するモチーフです。
作中の蝶たちは、前作「錆色の森」の主題として登場した六枚翅の子孫かもしれません。苦難を乗り越えた六枚翅の「こどもたちに同じ思いはさせない」という母なる思いが温かく包み込む世界で、自分らしい姿のまま飛び舞っているのです。
レリーフ調の縁取りには新芽や花などの芽吹きを刻み、あらんばかりのエネルギーを表現しています。
心地よい日差しを一身に浴び、沸き起こる原動力を感じていただければ幸いです。
「THE MOON」
月が自ら受けた光を優しく照り返す様を、母なる海とともに描いた作品。
月の光は静やかに海に差し込み、役目を終えて朽ちた古い貝殻にも平等に降り注ぎます。豊かな珊瑚のあいまを煌めき舞う魚たち。古の貝殻は、かつての宿主が朽ちてなお魚たちの拠り所として在り続けています。そうしてまた時は過ぎ、命の営みは繰り返され、螺旋状の記憶が紡がれていくのです。そんな営みの移り変わりを見届けるものとして、マンタが泰然と通り過ぎます。
レリーフ調の縁取りには貝殻や化石などかつて生きていたものの形跡を刻み、命の連続性を表現しています。
穏やかな時の流れに包まれながら、受け継がれる思いと心許せる居場所を感じていただければ幸いです。
THE MOON, drawing of coral reef, etching copperplate printing pic.twitter.com/7yv2sBj0OK
— 小柳 優衣 (@yui_koyanagi) May 25, 2019
THE MOON, etching process pic.twitter.com/iSA43Zedjm
— 小柳 優衣 (@yui_koyanagi) May 25, 2019
「THE MOON」部分
— 小柳 優衣 (@yui_koyanagi) April 9, 2019
普段はセピアインクを使っていますが、こちらは海底の月光をイメージしてリッチブラックにコバルトを混色した、私にしては珍しいお色味。グランド塗布の画像はそれぞれ腐蝕工程1段階目と2段階目。このあと3段階目の腐蝕部を描画して松脂の作業に入ります。珊瑚楽しい! pic.twitter.com/uFQOatXT8M
「THE MOON」を刷ります
— 小柳 優衣 (@yui_koyanagi) April 12, 2019
ニードルの針先で描いた線と、アクアチントの繊細なトーン、ディープエッチの腐蝕面を一版一色刷り pic.twitter.com/WirLz0Szzy
THE SUN, drawing of flowers, etching copperplate printing pic.twitter.com/8joBI9q2ma
— 小柳 優衣 (@yui_koyanagi) May 24, 2019
個展「THE LIGHT」無事に会期終了いたしました。
— 小柳 優衣 (@yui_koyanagi) April 6, 2019
遠方より足を運んでご高覧くださった方もおられ、あらためて人とのご縁に感謝する展覧会となりました。
作品をご所蔵くださった皆様、たくさんの心強い応援を本当にありがとうございます!
ペア作品 THE SUN・THE LIGHT 詳細https://t.co/TUBSIS6KKW pic.twitter.com/9AuDjFur8r